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在瀋陽日本国総領事館の松本領事にインタビュー
2009-09-14 19:53
  第5回北東アジア投資貿易博覧会が1日午前,吉林省の長春市で開幕した.この博覧会や博覧会期間に開催される一連のビジネスイベントに出席した在瀋陽日本国総領事館の松本盛雄総領事はこの日,「チャイナネット」のインタビューに応じ,日本の新政権の対中政策や地域協力,中国の発展などについて答えた.

----民主党が与党になってからの対中政策について

  8月末の衆議院選挙で民主党が大勝し,政権が交代することになりました.衆議院第一党の交代による政権交代は実に62年ぶりの出来事です.現時点ではまだ新政権は発足していませんし,具体的な政策が出てきたわけでもありませんので,予断はできませんが,私個人としては,外交の継続性なども考慮すれば,日中関係や日米関係など主要外交課題に関する政策にはあまり急激な変化は起こらないだろうと考えています.とりわけ日中関係の重要性については日本国内にはコンセンサスがあります.中国との関係強化という点については,新政権も従来にもまして重視することになると思います.

----北東アジアの地域協力と今回の博覧会について

  中国の北東アジア及び世界における影響力はますます大きくなり,その地位もますます重要になってきています.北東アジアにおける地域協力は重要であり,各国にとってもチャンスとなるものです.また,この地域の経済活性化にも有利だと思います.北東アジアの地域協力については関係各国が一層関心を高めていますが,注意しなければならないのは,排外的になったり保護主義になったりしないことでしょう.また,協力分野は経済だけではなく,文化創造産業など幅広い分野が考えられると思います.

  毎年,長春で行われているこの博覧会に関していえば,近年,中国の中央政府と地方政府がいずれもますますこれを重視するようになってきたと感じます.今回の博覧会は,出展者・来訪者の数が過去最高となり,中国側の指導者のレベルも上がり,期待も高くなっています.日本は国際金融危機の影響で,経済の停滞が続いていますが,それでもこの地域に対する関心が徐々に高まっていることを実感しています.今回も多数の企業が出展し,来訪した関係者もこれまで以上に増えていると聞いています.

----中国の東北地方に進出した日本企業の多くが大連に集中している理由について

  当初,日本企業の対中進出は製造拠点をコストの安い中国に移転することにより,そこで生産された製品を輸出し競争力を維持することに主眼がありました.このため日本企業の投資はこれまで広東省を中心とする珠江デルタや上海を中心とする揚子江デルタ及び北京を中心とする渤海エリアなど中国の沿岸部に集中していました.大連は沿海都市であり日本とっても親近感があり,重要な港湾都市であるため,交通の便や距離の面でのメリットなどから多くの日本企業が投資しています.一方,今後は中国国内マーケットがより重要になってくると思います.製品を輸出するだけでなく,国内市場へ供給する形の対中投資案件が増えてきています.このため,今後はより中国市場にアクセスしやすい場所に投資が移行していくことが予想されます.大連は引き続き重要な地位を占めるでしょうが,交通インフラなど関連施設が整備されるにつれて,瀋陽,長春,ハルビンなどが一層注目されるでしょう.

----総領事が見た中国の変化について

  中国の変化は10年ごとにレベルアップしているという特徴があります.私は1977年に外務省の研修生として上海に来ました.それから1987年及び1997年に北京の大使館で勤務し,今回2008年に瀋陽総領事として着任しました.まさに,ほぼ10年に一度,中国に駐在してその変化を見てきたわけですが,最初の10年は改革開放の初期段階で,香港や在外華僑及び周辺諸国との関係を重視し,そのあとの10年はより広く西側諸国との交流を強化し,2000年以降は国際社会に大きな影響力をもつようになりました.この過程で重要だったのは90年代半ばの国有企業・金融システムの改革,2001年のWTO加盟です.これらを通じて中国が国際社会の責任ある一員としての地位を確立していったと思います.

----中国人に知ってもらいことは

  中日間の文化の差をよく理解してもらいたいと思います.私は着任以来,中国の青少年との交流に力を入れ,学校や大学に行って講演をしています.これまで18回ほどしましたが,今年の春までは日中関係全般をテーマにしていました.それ以降は日中間の文化的差異というテーマをとりあげています.文化的差異を認識することは相互理解にとって重要です.例えば日本人は内向的で中国人は外向的という特徴があります.中国の学生はとても積極的で,講演後にすぐ手を上げて質問しますが,日本の学生は意見を持っていても発言したがりません.ただ日本の学生は意見がないのではなくて,相手のことを考えたり周囲の状況を見たりして遠慮している場合が多いのです.お互いある種の固定観念で見ると間違えることがあり,いろんなことを自分の目で見る必要があると思います.例えば,中国人が日本人の反応を見て,どうしてものをはっきり言わないだろうかと理解しがたいことがありますが,日本人は相手の立場を配慮し対立を避けるために,イエスかノーをはっきり言いません.しかし別に意見がないわけでもないのです.このような点を中国の人にも認識してもらいたいのです.また逆に日本人からすると,中国の人たちは遠慮がない,いいことをしてあげてもお礼も言わない礼儀知らずだと思うことがありますが,中国人は普通のことや仲間内であればいちいちお礼を言う必要はないと考えているのです.これも文化的な背景が違うことで,そこを理解しないと間違うこともあります.

----外交官やマスメディアの役割

  日中間で真に相互理解を深めるために,私たちは常に情報発信に努力しています.この面でマスメディアがするべきことはたくさんあります.読者の関心に合わせてある種のニュースばかりとりあげるだけでなく,範囲を広げて,広い意味で両国民の細かい日常生活を紹介したり,両国の文化や経済,社会制度について解説したりすることも重要です.メディアの影響力はとても大きいと思います.このような多様な報道が行われれば両国間の相互理解促進に大いに役立つでしょう.
 
 
「チャイナネット」2009年9月13日
 
 
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