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関東・関西帰国者支援者交流会での薛剣総領事の挨拶
2023-07-05 09:09

尊敬する池田理事長、辻本理事長、帰国者の皆様

  こんにちは。中国駐大阪総領事の薛剣です。本日の交流会にお招きいただき、とても光栄に存じます。私は以前、東京で長く仕事をしていたこともあり、池田理事長をはじめとする関東地区の帰国者の皆さんと親しく交流してきました。私は大阪に赴任して今日で丸2年になりますが、この2年は、関西地区の帰国者の皆さんともよくお会いしたり、皆さんのイベントに参加したりしています。本日は皆さんが一堂に会し、特に東京からは90名以上の方々が大阪に来られ、このように大規模な交流会が行われるということで、総領事館を代表し、心からの歓迎とお祝いを申し上げます。

  92年前、日本の軍国主義が凶暴な中国侵略戦争を発動し、中国の人々に未曽有の災難をもたらすとともに、日本の人々にも苦痛を与えました。戦後、大きな痛手を負った中国の人々は、日本人に恨みを向けるどころか、寛大な心で、多くの困難を克服し、中国に置き去りにされた2800名以上の日本人の子どもたちを引き取って育てました。皆さんの多くが、それを実際に経験した方々で、幼少期や青年期を中国で過ごされました。今日ご在席の皆様の中には二世、三世の方で、ご家族からそういった話を聞いているという人もいるでしょう。皆さんのご経験を、両国のより多くの人に、特に日本の一般民衆の方々に知ってもらうことで、その貴重な歴史的・時代的価値を発揮していくべきだと思います。

  皆様のご経験は心に刻むに値します。なぜなら、それは日本軍国主義による中国侵略戦争がもたらした苦難を記録しているからです。習近平主席が強調されています。歴史を心に刻むのは、憎しみを継続させるためではなく、ともにそれを戒めとするため。歴史を伝承するのは、過去にこだわるためではなく、未来を切り拓き、平和の灯を世世代代に受け継いでいくためであると。中国人はあの戦争がもたらした苦難に骨身に染みる記憶を持ち、絶えず平和を追求し続けています。一方の日本では、中国侵略戦争によって家族はバラバラになり、多くの帰国者は帰国後も苦しい生活を強いられています。戦争の痛ましい教訓を前にしてなお、日本国内には一部、歴史問題において頑なに誤った認識にしがみつき、侵略の歴史を否定・歪曲、さらには美化することで、その罪を希薄にし、責任を回避しようと企む勢力があります。彼らの行為は、ご在席の皆さんを含む被害者に対し、失礼この上ないものです。昨今、日本政府による軍事的制約の緩和を求める様々な動きも大きな論争を引き起こしています。これは戦後の平和憲法の理念に背くもので、財政負担を増やし、地域の平和と安定を破壊し、さらには過去の轍を踏むことになるとのことで、日本社会からは多くの反対の声が上がっています。私たちは、日本軍国主義者が発動した侵略戦争がもたらした、決して消えることのない痛みの記憶を心に刻み、日本に対し、歴史の教訓に学び、実際の行動によってアジアの隣国や国際社会の信頼を得るよう呼びかけ、平和の光が永遠に人類の暮らす地球をあまねく照らし続けるようにしなければなりません。

  皆様のご経験は心に刻むに値します。なぜなら、それは国境を超えた人間愛の輝きを放つものだからです。先ほども申し上げた通り、当時の中国の人々は自身の暮らしも非常に困窮していたにも関わらず、仁愛の手を差し伸べ、多くの中国人の母親が自身の母乳や限られた食糧で日本人残留孤児を育て、衣食を切り詰め、あらゆる手を尽くして有用な人材に育て上げました。中には、子どもの結婚・独立のために全財産を投げ打った養父母もいらっしゃいます。皆さんは日本に戻られてからも、中国の養父母の恩を心に刻み、ご自身の故郷となった中国のことをずっと忘れず、積極的に中日友好事業に身を投じてこられました。四川大地震の発生後には、日本人残留孤児の方が、自身の暮らしも大変な中、積極的に援助の手を差し伸べ、被災地に「日中友好希望小学校」を寄贈されました。今でもはっきり覚えているのが、2009年に温家宝総理が「中国人民の養育の恩に感謝する日本人孤児訪中団」と面会した感動的なシーンで、全員が、その場で熱い涙を流しました。最近、私たち総領事館と大阪の帰国者の皆さんで、映画『再会の奈良』を2回鑑賞したのですが、中国の養母が日本に養女を探しに来る過程の中に、多くの心温まる細かい描写があり、2つの国、2つの民族、言葉の通じない人と人との間に通じる真摯な気持ちが感じられ、とても感動的でした。私はいつも、中日両国は隣国関係を超えた「親戚」関係であると言っているのですが、これには両国の2000年にわたる友好交流の歴史も含まれていますし、それ以上に、皆さんの見た目にも生き生きと体現されているものです。

  皆様のご経験は心に刻むに値します。なぜなら、それは中日両国の隣国としての正しい付き合い方を明示しているからです。歴史が教えてくれています。中日両国は、和すれば共に利し、争えば共に傷つくと。中日友好は両国民の根本的利益に合致し、中日友好協力関係の発展は、両国、アジア、世界にとって重要な意義を持つものです。ご在席の皆様がいつも架け橋としての独自の役割を果たし、中日平和友好のため、多くの実のあることをしてくださっていることに、私たちはとても感謝しています。昨年の国交正常化50周年に続き、今年は『中日平和友好条約』締結45周年を迎えました。両国関係は今、理想的な状態ではなく、両国民の好感度は低迷し続けています。私たちは、これまで両国がどんな約束をしてきたのか、中日関係がどう歩んできたのかを、改めてよく考えなければなりません。私がよく言う「中日友好、敬隣永安」には、両国が互いに尊重し合い、基本的事実を尊重し、信義原則を遵守し、隣国との関係に配慮し、両国間で恒久的な平和友好関係を発展させ、真に両国と両国民、そしてアジアと世界に有益な選択をしていきたいとの願いが込められています。皆様には、より多くの、特に日本の一般民衆の方々に、戦争残留孤児の特別な歴史的経験を語り、中日両国民のこの特殊な縁を世世代代に語り継いでいくことで、平和を重んじ、友好を守ることを、より大きな社会的共通認識にし、中日関係により多くのプラスのエネルギーを注入してもらいたいと思います。

  本日の交流会には、主催者が心を込めて準備されたバラエティ豊かなパフォーマンスもあるようで、そこには故郷の音楽、故郷の雰囲気がたくさん詰まっています。私も最後まで参加したいのですが、スケジュールの都合で、後ほど早めに退席しなければなりません。皆さんには、このような交流イベントをたくさん展開することで、家族や家の温もりを感じてほしいです。総領事館も、引き続き皆様の「身内」として、できる限りの協力やサポートを行っていきます。

  最後に、本日の交流会のご成功を祈願し、ご在席の年配の方々が、毎日を家族の温もりの中で安心して楽しく過ごせますことを、そして若い世代がどんどん成長し発展していきますことを願っています。ありがとうございました。

 
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